すぺしゃるXディ───第12夜───
特別な日 ヒカル×あかり
特別な日 ヒカル×あかり
特別な日 アキラ×市川
特別な日 和谷×奈瀬
自分を支えてくれる人
二人だけの秘密
壊したくない関係
いっしょに打とうよ__明日美side
いっしょに打とうよ__あかりside
それは和谷の家での出来事。
他愛ない会話が発端だった。
夕焼けに紅く染まる帰り道をとぼとぼと歩きながら、私は「はぁ〜っ」と数回目のため息をついた。
(ホント、大丈夫かなぁ。勢いで引き受けちゃったけど・・・)
私は、右手に持った布を被せた「直方体」の物体をちらりと見た。
大きさは幅35cm×奥行25cm×高25cm程度か。
上部の中央に付いた取っ手を持って、揺らさないように気をつけながら歩く。
(私に世話・・・できるかなぁ)
臨時でウエイトレスのバイトに入ってから、一週間経った。
仕事にも慣れてきたし、周りの娘達とも仲良くなれたし。
囲碁以外の事にこんなに時間を割くのも久しぶり。
新鮮で楽しいな。
なんたって、制服もかわいいのも、ポイント高いよね。
ピンク基調のひらひらの多いワンピースに、真っ白なエプロン。
何ていうか、こういうの「コスプレ」って言うの?(違います)
ヘンな気分。
それも新鮮。
「さ、もう帰るか」
空一面がすっかり宝石箱をひっくり返したような星空にかわった頃───
ヒカルはそういうと、昔と変わらず器用にするすると降りていった。
彼の、幼馴染のヒカルの前髪は、眩しい太陽なような黄金色───
あれは忘れられない6歳の時の事。
ホントすげぇ短い言葉。
まぁ、オレとしちゃ上出来ってヤツ?
伝えたい気持ちをこうやって伝えるってのも。
しかしたった五文字打つのに、実は必死だったんだよな、コレが。
もう悩んだ悩んだ。
オレにしちゃ、これでもか〜ってホド。
すげぇ悩んだ(頭痛してきたよ、マジで)
恥ずかしくって絶対、面と向かって言えない言葉でも、
メールなら伝えられる気がして。
(ま、打ってから送ろうか消そうか、3時間も迷ったけど)
でも結局
「えぇぇ〜っい!オトコは度胸だろ!!」
とか、叫んで送信ボタンを押したよ。
便利なツールだよな。ホント。
きっとこのメールはアイツに届いてる。
(そう思うと恥ずかしいし、ちょっと怖い気もするけど)
これがあれば、あいつの声が何時でも聞けるし・・・
何時でも会う約束できるし、な。
短い言葉。
でもそれを一生懸命打ってるあなたの姿が目に浮かぶよ。
必死でケイタイと格闘してるあなたの姿。
ちょっとカッコ悪い。
「くそ、あ〜、ゲっ、消しちゃった・・・」(くー)
って、きっと四苦八苦してる。
でもそんなあなたが私も・・・
頬が少し熱くなる。
目を閉じてそっとケイタイを抱きしめてみた───
「ちぇ、なんだよ、あかりのヤツ!」
ヒカルはベットにあお向けに寝転んで、思い出しながらふて腐れた。
久しぶりに囲碁部の部室を覗いて、碁を(無理やり(^^;)打ったまではいいが、
三谷のことであかりとやり合いになったのだ。
やり合いと言っても一方的に碁石をこれでもか!と投げつけられたのだ。